節税対策として欠かせない減価償却ですが、確定申告の際に計算する方法には、定率法と定額法が存在します。
耐用年数に合わせてどちらも毎年償却していくのですが、償却費用を比較すると、数字が異なっていることが分かります。
それぞれどのような計算式があるのか、償却方法の違いについて確認しておきたいと思います。
定率法と定額法の違い
定率法と定額法の違いは?
減価償却による節税とは、固定資産にかかる税金を控除するために、償却費用として経費計上する仕組みとなっています。
償却期間は耐用年数によって決められており、定額法を使う場合、毎年同額の費用を経費計上することになり、定率法を使う場合、耐用価値に応じて初年度の償却費用を高く経費計上して、次年度以降から徐々に低く経費計上することになります。
一般的に、確定申告を簡単に済ませたいのであれば、計算が楽な定額法、支払う税金を有利(後回しできる)にしたいのであれば、計算が面倒な定率法を選択することになります。
定額法と定率法の計算方法
減価償却費=(取得価額-残存価格)×耐用年数に応じて定められた定額法の償却率取得価格
資産そのものの購入費用を指しますが、取得する際に手数料や運搬費などがかかった場合、取得価格に含めることができます。残存価格
減価償却が終了した後でも価値があると判断された場合、所得価格の10%で計算することになります。償却率
定額法の場合、毎年同じ金額を経費計上することになりますので、耐用年数を1で割った数字となります。
対応年数3年:0.334
対応年数4年:0.250
対応年数5年:0.200
対応年数6年:0.167
減価償却費=(取得価額-前年度までの減価償却費の累計額)×耐用年数に応じて定められた定率法の償却率取得価格
資産そのものの購入費用を指しますが、取得する際に手数料や運搬費などがかかった場合、取得価格に含めることができます。前年度までの減価償却費の累計額
前年度までに確定申告した帳簿価格の合計となります。償却率
定率法の場合、耐用年数に応じて決められた償却率で計算することになりますが、定額率と比べると2倍となっています。
対応年数3年:0.667
対応年数4年:0.500
対応年数5年:0.400
対応年数6年:0.333
償却保証額=取得価格×耐用年数に応じて定められた定率法の保障率
保障率
対応年数3年:0.11089
対応年数4年:0.12499
対応年数5年:0.10800
対応年数6年:0.09911
これは耐用年数に応じて減価償却を終わらせることを目的とした施策です。
最後の年は備忘価額(1円)で償却残高を残すことになります。
このような定率法を200%定率法と呼んでおり、償却保証額に満たなくなった場合、新たな改定償却率を使って計算するのですが、減価償却残高を残りの耐用年数で均一化することになります。
対応年数3年:1.000
対応年数4年:1.000
対応年数5年:0.500
対応年数6年:0.334
減価償却費を確定申告の際に計上する方法
1月1日から12月31日を対象として確定申告しますので、1月に固定資産を取得したのであれば、上記の計算通りに計上できますが、それ以外の月に取得したのであれば、月割り計算することになります。
該当年度の初回減価償却費=計算した減価償却費×使用期間(月数)÷12ヶ月
例えば、6月に固定資産を取得したのであれば、7ヶ月/12ヶ月を掛け合わせることになります。
定額法の計算
実際に、定額法を用いて減価償却費を計算してみます。
30万円のパソコンの場合
耐用年数:4年
償却率:0.250(1/4年)
1年目の減価償却費
(300,000-300,000×10%)×0.25=67,500円
2年目の減価償却費
(300,000-300,000×10%)×0.25=67,500円
3年目の減価償却費
(300,000-300,000×10%)×0.25=67,500円
4年目の減価償却費
(300,000-300,000×10%)×0.25=67,500円
※最後の年は備忘価額(1円)で償却残高を残す。
300万円の普通自動車の場合
耐用年数:6年
償却率:0.167(1/6年)
1年目の減価償却費
(3,000,000-3,000,000×10%)×0.167=450,900円
2年目の減価償却費
(3,000,000-3,000,000×10%)×0.167=450,900円
3年目の減価償却費
(3,000,000-3,000,000×10%)×0.167=450,900円
4年目の減価償却費
(3,000,000-3,000,000×10%)×0.167=450,900円
5年目の減価償却費
(3,000,000-3,000,000×10%)×0.167=450,900円
6年目の減価償却費
(3,000,000-3,000,000×10%)×0.167=450,900円
※最後の年は備忘価額(1円)で償却残高を残す。
定率法の計算
実際に、定率法を用いて減価償却費を計算してみます。
30万円のパソコンの場合
耐用年数:4年
償却率:0.500
改定償却率:1.000
保証率:0.12499
償却保証額:37,497円(300,000円×0.12499)
1年目の減価償却費
(300,000円)×0.500=150,000円
2年目の減価償却費
(300,000円-150,000円)×0.500=75,000円
3年目の減価償却費
(300,000円-150,000円-75,000円)×0.500=37,500円
(300,000円-150,000円-75,000円-37,500円)×0.500=18,750円→償却保証額(37,497円)を下回ったため、改定償却率(1.000)を適用→(300,000円-150,000円-75,000円-37,500円)×1.000=37,500円→37,499円(備忘価額(1円)を残すため)
300万円の普通自動車の場合
耐用年数:6年
償却率:0.333
改定償却率:0.334
保証率:0.09911
償却保証額:297,330円(3,000,000円×0.09911)
1年目の減価償却費
(3,000,000円)×0.333=999,000円
2年目の減価償却費
(3,000,000円-999,000円)×0.333=666,333円
3年目の減価償却費
(3,000,000円-999,000円-666,333円)×0.333=444,444円
(3,000,000円-999,000円-666,333円-444,444円)×0.333=296,444円→償却保証額(297,330円)を下回ったため、改定償却率(0.334)を適用→(3,000,000円-999,000円-666,333円-444,444円)×0.334=297,334円
5年目の減価償却費
昨年と同額扱い297,334円
6年目の減価償却費
昨年と同額扱い297,333円(備忘価額(1円)を残すため)
確定申告の定率法と定額法の比較まとめ
定額法は計算式が簡単で毎年同じ金額を経費として計上できることが分かったと思います。
いっぽう、定率法は計算式が複雑ですが、1年目、2年目に大きな金額を経費として計上できます。
どちらの耐用年数の期間をかけての償却となりますが、早めに経費として扱いたいのであれば定率法が向いていることになります。
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