事業に必要な物品を購入し、それが固定資産に該当する場合、減価償却する必要があります。
そのような中、個人事業主(自営業)を含む中小企業を対象に、少額減価償却資産の特例制度というものが存在しており、税制上、優位に働くこともあって、現在、年間50万社以上が節税対策として活用していると言われています。
少額減価償却資産の特例には、どのような条件があるのか、利用できる期限はあるのか、注意すべき点をまとめておきます。
少額減価償却資産の特例とは
一般的に、節税対策として効果的と呼べるものは、いかに経費扱いとして計上できるかがカギと言われています。
経費扱いとは、損金算入することですが、これにより固定資産税などの減税もしくは免税により、税金の支出を抑えることができます。
そのため、多くの企業では、10万円以上が対象となる固定資産を減価償却資産にすることで、節税へと繋げているのです。
減価償却資産の方法は以下の3通りとなっています。
普通償却と呼ばれるもので、定額法または定率法を用いて、決められた耐用年数で均等割りして経費計上します。
・一括減価償却資産
3年均等償却と呼ばれるもので、対象資産は20万円未満となっており、3年間で均等割りして経費計上します。
・少額減価償却資産
即時償却と呼ばれるもので、対象資産は30万円未満となっており、そのまま全額経費計上します。
減価償却資産および一括減価償却資産は、対象となる事業者に制限はありませんが、少額減価償却資産の特例は、制度で定めている中小企業者等が対象となっています。
・法人事業者
資本金が1億円以下
資本金を有しない法人のうち、常時使用する従業員の数が1,000人以下
・個人事業主(自営業者)
常時使用する従業員の数が1,000人以下
また、少額減価償却資産の特例を適用させるためには、いくつかの条件があります。
減価償却資産が該当しますが、機器等の有形減価償却資産のみならず、ソフトウェア等の無形原価償却資産も対象となっています。新品、中古の資産を問わずに適用できます。
平成18年4月1日から令和2年3月31日まで平成30年度の税制改正により、平成30年3月31日までが、令和2年3月31日までへと2年間延長されています。
青色申告事業者として登録しなければなりません。白色申告をしている方は対象外となります。
青色申告は、税務署から帳簿管理を前提に承認されるものですので、損益計算書や貸借対照表といった書類を作成・保管する必要があります。
適用年度において、用途として実際に使用している事実が必要となります。購入済みの物品が未到着の場合、納品済みでも未使用もしくは使えない状態の場合、同年に適用することはできません。
30万円のパソコンを経費で扱う場合
それぞれの減価償却資産の方法を用いて、1年間で経費計上できる金額を比較してみます。
物品はパソコン、購入代金は税込30万円とします。
パソコンの場合、減価償却資産の耐用年数は4年間となっています。
1年目の計算式:300,000円÷4年=75,000円2年目の計算式:300,000円÷4年=75,000円
※計算式は2年目までとしています。
1年目の計算式:300,000円×0.5=150,000円2年目の計算式:(300,000円-150,000円)×0.5=75,000円
※計算式は2年目までとしています。
1年目の計算式:300,000円÷3年=100,000円2年目の計算式:300,000円÷3年=100,000円
1年目の計算式:300,000円÷1年=300,000円
少額減価償却資産の特例では30万円まで経費計上できるみたいですね♪
少額減価償却資産の特例まとめ
前述した例を見ると、減価償却資産の方法によって、1年間で経費計上できる金額に開きが出ており、少額減価償却資産を適用させると、より多くの節税から利益貢献へ大いに関与していることが分かります。
ただし、少額減価償却資産の上限は、年間で300万円(事業年度が1年に満たない場合には300万円を12ヶ月で案分し、事業年度の月数を掛け合わせた金額)までとなっています。
少額減価償却資産の特例を使っていない方は、平成18年4月1日~令和2年3月31日までさかのぼることができますので、この機会にぜひ活用してみて下さい。
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