昨今、多くの決済サービス事業者がQRコード決済市場に参入していますが、2019年8月1日よりJPQRと呼ばれるQRコード決済が試験的に導入されることになりました。
他のQRコード決済とどのように違うのか、さらには、今後JPQRが全国的に普及されると、どのような効果があるのか、詳しく確認してみましょう。
JPQRとは何?
JPQRとは総務省が管轄しているキャッシュレス推進協議会が新たに発行したQRコードのことで、従来、決済サービス事業者が独自のQRコードを使って決済していたものを、全国的にコードを統一しようと働きかけたものとなっています。
例えば、一つの店舗で複数のQRコード決済を導入した場合、各事業者より配布されたQRコード決済を読み取るアプリやレジ対応を都度おこなう必要がありました。
これには設備投資や機器の改修費用など導入する度にコストがかかる場合が出てきますし、運用面での負担も多くなってきます。
お客様よりAというQRコード決済を告げられると、Aを読み取るアプリやレジ用ソフトウェアを起動することになり、BというQRコード決済を告げられれば、同様にBに対応したものを準備するといった具合です。
お客様には簡単で便利な反面、店舗側では全てのQRコード決済に関するノウハウを習得しないと会計ができないという事態に陥っているということなのです。
そこで、キャッシュレス推進協議会では煩雑しているQRコードを統一することで、店舗側の負担を軽減できないかというテーマを掲げ、各事業者への賛同を求めながら試験的な導入へと進めていったのです。
QRコードが統一できれば、読み取るアプリやレジ対応は一つのもので済みますし、お客様がどのQRコード決済サービスを使っているのか把握する必要もありません。
ただし、QRコード決済サービスには大きく分けて二つの方法がありますので、その使用方法については異なってくることを理解しておきましょう。
お客様がQRコード決済を告げて、お手持ちのスマートフォン等で必要な情報(精算金額や決済方法の登録)を入力してQRコードを生成する方式です。店舗側では提示されたQRコードを読み取るだけで会計が完了することになります。
店舗側で用意したQRコードを、お客様がスマートフォン等にあるアプリを起動して読み取る方式です。店舗側ではお客様の精算処理が一通り完了したのを確認して、専用の管理ソフト(スマートファンやタブレット、POSレジなど)で会計記録を照会することになります。
利用者型提示では、JPQRに対応すべくアプリやレジへの対応作業が必要となってきますので、今回のJOQR決済への施策はこちらが該当することとなります。
店舗提示型では、もともと店舗側でお客様がどのQRコード決済を利用するのか意識することが無かったため、店舗側でJPQR化する必要がありません。
では店舗側でJPQRを導入して店舗内に掲示した場合、お客様が読み取ることができなくて困るのではないかという心配をされている方もいらっしゃると思われます。
このような使用方法に対応するため、各事業者はお客様が利用するアプリへ、従来のQRコードでもJPQRでもちゃんと読み取れるように改修することになっていますので、QRコード決済ができないとうことはありません。
JPQRを導入することで、お客様との支払い処理が楽になるという点は分かりましたが、会計後の売り上げ管理は、各事業者が配布している専用の管理ソフトを全てチェックしないとダメなのでしょうか。
こちらに関しても、キャッシュレス推進協議会では思考をおこなっており、統一化されたJPQR専用の管理ソフトを用意するとのことです。
担当している会社は会計ソフトなどを手がけているマネーフォワード社となっており、今回参加する各事業者からの決済情報を集約して会計処理をおこなってくれるものとなっています。
ゆくゆくは店舗と各事業者との加盟店契約を仲介することも考えられていますので、各事業者との手数料率の引き下げ効果が期待されています。
JPQRを導入している決済
今回の試験的な導入は地域限定となっており、決済サービスも全てが対象となっているわけではありません。
導入地域ならびに、JPQRに登録している決済サービス、今後登録が予定されている決済サービスを確認しておきましょう。
・導入される地域
事業名称「統一QR」普及事業と称し、岩手県、長野県、和歌山県、福岡県の4県全域が対象となっています。
期間は2019年8月1日~2020年1月31日が予定されています。
・すでにJPQRを導入している決済サービス
2019年8月1日現在、JPQRを導入している決済サービスは以下のようになっています。
au PAY
au WALLET残高(バーチャルプリペイド口座)に前もってチャージされた金額から決済するサービスです。
au WALLETにはポイントサービスもありますので、ポイントをそのままチャージすることができ、利用者にとっては使い勝手の良い用途となっています。
銀行Pay(OKIPay、はまPay、ゆうちょPay、YOKA!Pay)
OKIPAYは沖縄銀行、はまPayは横浜銀行、ゆうちょペイはゆうちょ銀行、 YOKA!Payは福岡銀行、熊本銀行、親和銀行が管理しているQRコード決済です。
利用者は各銀行の預金口座残高を上限としてキャッシュレスで加盟店への支払いがおこなえ、デビットカードのイメージで専用アプリを使用して買い物ができる仕様となっています。
なお、銀行Payとは、銀行系の3大QRコード決済サービス(通称:銀行系Pay)の1つで同じアプリを使っているのが特徴と言えます。
メルペイ
国内最大級のフリマ(フリーマーケット)サイトであるメルカリが運営している会社のQR決済サービスで、膨大な全国規模の会員数を有しています。
メルカリの会員はクレジットカード決済の登録が必須となっていますので、利用されるお客様は信頼のある方となります。
LINE Pay
世界的な規模で利用されているLINEが提供するQRコード決済で、チャージした金額を家族や知り合いの間で送金し合えることが特徴となっています。
もらったお小遣いの有効活用として、実店舗で利用できることに人気が高まっています。
楽天ペイ
国内最大級のネットショッピングサイトを運用している楽天グループが提供するQRコード決済で、楽天カードや楽天銀行の利用も併せてできるようになります。
支払い回数や利用手数料も優遇されていますので、キャッシュフロー上の手助けとなってくれそうです。
りそなウォレット
りそなグループ(りそな銀行、埼玉りそな銀行)が手掛けるQRコード決済です。
利用者は各銀行の預金口座残高を上限としてキャッシュレスで加盟店への支払いがおこなえ、デビットカードのイメージで専用アプリを使用して買い物ができる仕様となっています。
・JPQRを導入予定の決済サービス
公表はされていませんが、年内にさらに6サービスがJPQRに準拠する予定(2019年7月22日現在)となっています。
通信系では、ソフトバンクが管理するPayPay(ペイペイ)やdocomoが管理するd払い(ディーバライ)が続くと言われています。
銀行系では、みずほ銀行や多くの地方銀行が参加しているJ-Coin Pay(ジェイコインペイ)も検討しているようです。
コンビニ系では、ファミペイも考えられます。
国内でいち早くQRコード決済サービスを立ち上げ、訪日観光客(中国人)向けに中国系のQRコード決済サービスと連携をしているOrigami Pay(オリガミペイ)の名前も噂されています。
JPQRのまとめ
ここ2年で急激に広まっているQRコード決済ですが、日本政府の対応が間に合わず各事業者が思い思いの仕組みで提供している事実があります。
今回発表されたJPQRは、総務省(キャッシュレス推進協議会)の施策として、店舗運営の乱雑した状況への歯止め役となるのか注目されているようです。
まずは試験的な段階となっていますが、政府と事業者が一体となって良い結果につながることを期待せずにはいられません。
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